医療2026.08.11執筆:社会保険労務士 岩田裕生

宿日直許可とは——医師の働き方改革で「必要になる病院・クリニック」と申請の流れ

この記事の要点
・宿日直許可とは、業務密度の薄い宿直・日直を労働時間規制の適用除外とする労働基準監督署の許可(労基法41条)
・許可がないと宿直時間がすべて労働時間として通算され、副業医師の受け入れに支障が出る
・基準は「ほとんど労働しない勤務」「宿直週1回程度」「睡眠設備」「一定水準の手当」など。診療科や時間帯を区切った申請も可能

医師の働き方改革により、2024年4月から医師の時間外労働に上限規制が適用されています。この制度対応の鍵を握るのが「宿日直許可」です。許可の有無で、宿直時間が労働時間に算入されるかどうかが変わり、副業医師を受け入れる病院・クリニックでは特に影響が大きくなっています。

宿日直許可とは

労働基準法41条に基づき、業務の密度が薄い宿直・日直勤務について、労働時間規制の適用除外を認める労働基準監督署の許可です。許可を受けた宿日直の時間は、原則として時間外労働の上限規制や割増賃金の対象から外れます(実作業が発生した時間を除く)。

なぜ今、重要なのか

大学病院等から非常勤医師の派遣を受けている場合、派遣元は医師の労働時間を通算して管理します。受け入れ先に宿日直許可がなければ、宿直がすべて労働時間として通算され、「許可のない病院には医師を派遣できない」という判断につながり得ます。実際、許可の取得状況が医師確保に直結する事例が増えています。

許可の主な基準(概要)

  • 常態としてほとんど労働する必要のない勤務であること(軽度・短時間の業務に限られる)
  • 宿直は週1回、日直は月1回程度が原則の回数上限
  • 相当の睡眠設備が設置されていること
  • 宿日直手当が賃金の一定水準以上であること

診療科や時間帯を区切った許可申請も可能で、「救急対応が一定程度ある病院」でも、実態の整理によって取得の道があります。

申請の流れ

①宿日直の実態調査(業務内容・頻度の記録)→②申請書と添付書類(勤務実態表・施設図面・手当の規程等)の準備→③労働基準監督署への申請→④実地調査への対応、という流れが一般的です。実態の整理と記録の作り方が審査の成否を左右するため、準備段階からの設計が重要です。

当事務所は、病院の総務・経営企画の実務経験を持つ社労士として、宿日直許可の申請支援を行っています。詳しくは医療機関向けページ、または無料相談へ。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案への適用を保証するものではありません。助成金・許可申請等には行政機関の審査があり、結果を保証するものではありません。最新の法令・要領をご確認のうえ、個別のご相談は専門家までお寄せください。
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