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医療2026.08.11(更新 2026.09.28)執筆:社会保険労務士 岩田裕生読了 約7分

宿日直許可とは——医師・看護師の許可基準、申請に必要な書類、アルバイト当直との関係

この記事の要点
・宿日直許可は、ほとんど労働しない断続的な宿直・日直について、労働時間規制の適用を除外する労働基準監督署の許可(労基法41条3号・労基則23条)
・基準は、軽度・短時間の業務のみ、十分な睡眠、手当が1日平均賃金の1/3以上、原則として宿直週1回・日直月1回など
・診療科・時間帯・業務を限った許可も可能。救急・産科であることだけを理由に不許可にはならない
・申請は様式第10号で所轄の労基署へ。審査の要は、業務の頻度と時間がわかる記録。許可後に通常業務をした時間は別途賃金・割増賃金が必要
社会保険労務士 岩田裕生
社会保険労務士 岩田裕生 元・病院総務課長、現役の就労継続支援A型事業所管理部長。この記事のテーマは、無料相談(30分)で具体的にお話しできます。 無料相談を申し込む →

医師の時間外労働の上限規制(2024年4月〜)が始まってから、「宿日直許可」を取るかどうかが、病院の勤務体制と医師の確保を左右するようになりました。筆者は病院の総務課長として、宿日直許可の取得に携わりました。その経験もふまえ、許可の基準、申請に必要な書類、許可を取った後の運用の注意点を、厚生労働省の通達とFAQにもとづいて整理します。

宿日直許可とは

宿直・日直のうち、ほとんど労働する必要のない断続的な勤務について、労働基準監督署長の許可を受けることで、労働時間・休憩・休日に関する規定の適用を除外する制度です(労働基準法第41条第3号、労働基準法施行規則第23条)。

許可を受けた範囲の宿日直は、医師の時間外・休日労働の上限規制との関係で、労働時間としてカウントされません。一方で、厚生労働省は「労働時間ではないとするものではない」とも説明しており、たとえば医師の代償休息には充てられないとされています(医政局Q&A)。「許可があれば何時間いてもよい」という制度ではない点に注意が必要です。

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医師・看護師等の許可基準

医療機関の宿日直は、通達「医師、看護師等の宿日直許可基準について」(令和元年7月1日付け基発0701第8号)にもとづいて判断されます。主な基準は次のとおりです。

  • 通常の勤務から完全に解放された後の勤務であること(日勤の延長ではないこと)
  • 業務は、特殊な措置を必要としない軽度または短時間のものに限られること。例として、少数の要注意患者の状態の確認、軽症患者への対応、看護職員の定時巡回・検温などが挙げられています
  • 宿直の場合、夜間に十分な睡眠がとり得ること。相当の睡眠設備があること
  • 宿日直手当が、同種の業務に従事する労働者の1人1日平均賃金の3分の1以上であること
  • 回数は原則として宿直が週1回、日直が月1回まで(人員が不足し、かつ業務の密度が薄い場合は例外があり、宿直週2回などで許可された例もあります)

「一部だけ」の許可も取れる

通達では、診療科・職種・時間帯・業務の種類を限った許可が認められています。厚生労働省のFAQでは、たとえば次のような例が示されています。

  • 医師以外の職種だけ、または医師の深夜帯だけを対象とする
  • 準夜帯を除いた時間帯だけで申請する
  • 救急の輪番日以外の日を前提に申請する

また、「救急」や「産科」であることを理由に許可されないことはない、とされています。大切なのは診療科の名前ではなく、その時間帯に実際どれだけ業務が発生しているかです。「うちは救急があるから無理」と決めつけず、時間帯を分けて実態を見ることをおすすめします。

申請の流れと必要書類

申請は、様式第10号「断続的な宿直又は日直勤務許可申請書」を、所轄の労働基準監督署に提出して行います。

  1. 実態の把握:宿日直中の業務の内容・件数・所要時間を記録で確認する
  2. 申請:申請書と添付書類を労働基準監督署に提出する
  3. 実地調査:労働基準監督官が、原則として現地を確認します。医師へのヒアリング、仮眠スペースの確認、直近数か月の勤務記録の確認などが行われます
  4. 許可:許可書が交付されます。許可書に付された条件(回数など)に沿って運用します

添付書類としては、次のようなものが求められます。

  • 労働条件通知書・雇用契約書の写し
  • 宿日直の当番表・シフト表(1か月分が基本。3か月分などを求められることもあります)
  • 業務日誌や電子カルテのログなど、業務の頻度と所要時間がわかる資料
  • 給与一覧表と、宿日直手当の計算書
  • 巡回経路の図面、宿泊(仮眠)設備の概要

許可までの期間は、個別の事情によって異なるとされています。審査で最も見られるのは「記録と実態が一致しているか」です。申請の前に、宿日直中の業務を数か月分きちんと記録しておくことが、結果的に一番の近道になります。

許可を取った後の注意点

通常の業務が発生した時間には、賃金が別に必要です。許可があっても、宿日直中にまれに通常と同じ業務(救急患者の診療など)をした場合、その時間は時間外労働の手続をとり、宿日直手当とは別に、本来の賃金と割増賃金を支払います。

実態が変わると、許可の効力が及ばなくなるおそれがあります。通常業務が常態化すると、FAQでは「宿日直中の全ての時間が労働時間となる可能性」があるとされています。救急の指定を新たに受けた、医師の配置が変わったなど、申請時から事情が変わったときは、勤務の内容を見直し、必要に応じて再申請します。

アルバイト当直(副業・兼業)との関係

宿日直の回数の上限は、医療機関ごとに数えます。本務先で週1回、兼業先で週1回、それぞれ許可のある宿直に就くことができます(FAQ)。

労働時間の通算について、副業・兼業ガイドラインは、労働時間規制が適用されない時間(監視・断続的労働など)は通算しないとしています。このため、許可のある兼業先の宿日直の時間は、原則として通算の対象外と考えられます。ただし、兼業先で通常の業務をした時間は通算の対象になるため、受け入れる側の病院では、医師が本務先に申告できるよう、通常業務をした時間を記録しておく体制が求められます(これらは通達・FAQ・ガイドラインからの解釈であり、医師について明記した一次情報は確認できていません)。

非常勤医師を受け入れる病院にとって、宿日直許可の有無は、派遣元の大学病院などが医師の労働時間を管理するうえでの判断材料になります。許可がないと、宿直の時間がすべて労働時間として扱われるためです。

根拠資料

当事務所では、病院の総務課長として宿日直許可の取得に携わった社会保険労務士が、実態の記録の設計から申請書類の作成、実地調査への備えまでお手伝いします。詳しくは医療機関向けページ、または無料相談へ。

よくあるご質問

救急や産科がある病院でも、宿日直許可は取れますか?
厚生労働省のFAQでは、「救急」「産科」であることを理由に許可されないことはないとされています。時間帯や業務を分けて、実際にどれだけ業務が発生しているかで判断されます。
夜間の一部の時間帯だけで申請できますか?
できます。通達で、診療科・職種・時間帯・業務の種類を限った許可が認められており、FAQでも準夜帯を除いた時間帯での申請例が示されています。
宿直は週に何回までですか?
原則として宿直は週1回、日直は月1回までです。人員が不足し、かつ業務の密度が薄い場合には例外があり、宿直週2回などで許可された例もあります。
許可を取れば、宿直中に患者対応をしても手当だけでよいですか?
いいえ。宿日直中にまれに通常の業務をした場合、その時間は時間外労働として扱い、宿日直手当とは別に本来の賃金と割増賃金を支払う必要があります。
アルバイト当直の時間は、本務先の労働時間と通算しますか?
副業・兼業ガイドラインでは、労働時間規制が適用されない時間は通算しないとされているため、許可のある兼業先の宿日直は原則として通算の対象外と考えられます。ただし、兼業先で通常業務をした時間は通算の対象になります(解釈を含みます。個別にご確認ください)。

このような院は、ご相談ください

  • 当直をお願いしているが、宿日直許可を取っていない
  • 当直中の呼び出しが増え、許可の要件に合っているか不安
  • 当直の手当や、医師の労働時間の数え方を確かめたい

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案への適用を保証するものではありません。制度の内容は2026年9月28日時点の公表資料に基づきます。許可・届出・助成金等には行政機関の審査があり、結果を保証するものではありません。
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