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法改正2026.09.28執筆:社会保険労務士 岩田裕生読了 約7分

2026年10月1日から変わること——医療・介護・障害福祉の事業所が確認する5点

この記事の要点
・兵庫の最低賃金は10月1日から1,172円。月給制の職員は時給に換算して確認する
・社会保険の賃金要件(月額8.8万円)が撤廃。保険料調整制度も始まるが、9月30日以前に任意特定適用事業所になると対象外
・カスハラ対策と、求職者・実習生へのセクハラ防止措置が事業主の義務に
・パート・有期の労働条件通知書に「待遇差の説明を求められる」旨を追加。雇い入れ時と有期契約の更新時が対象
社会保険労務士 岩田裕生
社会保険労務士 岩田裕生 元・病院総務課長、現役の就労継続支援A型事業所管理部長。この記事のテーマは、無料相談(30分)で具体的にお話しできます。 無料相談を申し込む →

2026年10月1日は、最低賃金の改定に加えて、社会保険・ハラスメント対策・パート有期雇用のルールが同じ日に動きます。医療機関・介護事業所・障害福祉事業所で、今週中に確認しておきたい点を5つにまとめました。いずれも厚生労働省・日本年金機構・兵庫労働局の公表資料で確認した内容です。

1. 兵庫県の最低賃金が1,172円に

兵庫県最低賃金は10月1日から時間額1,172円になります(改正前1,116円・56円の引上げ)。大阪府は同日から1,231円、京都府は11月16日から1,180円です。

現場で確認すること:パートの時給だけでなく、月給制の職員を時給に換算して1,172円以上かを確かめます。月給から通勤手当・家族手当・精皆勤手当・固定残業代などを除き、1か月平均の所定労働時間で割って比べます。就労継続支援A型で減額特例の許可を受けている利用者は、許可の内容と減額後の金額を確認します。

計算は 最低賃金チェッカー(無料) で確かめられます。

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2. 社会保険の「月額8.8万円」要件がなくなる

短時間労働者が厚生年金・健康保険に加入する要件のうち、賃金要件(月額8.8万円以上)が10月1日に撤廃されます(年金制度改正法・令和7年法律第74号、施行日は令和8年政令第275号)。週20時間以上などの他の要件は残ります。

あわせて10月1日から「保険料調整制度」が始まります。対象の短時間労働者(週20時間以上・標準報酬月額12.6万円以下・学生でない人)について、通算3年間、本人の保険料負担を軽くする仕組みです。事業主が一時的に負担した分は、後の保険料から控除されます。

見落としやすい点:従業員50人以下の法人が任意で短時間労働者を加入させる場合(任意特定適用事業所)、2026年9月30日以前に任意特定適用事業所になった事業所は、保険料調整制度の対象外です。申出は10月1日以降にします。

現場で確認すること:特定適用事業所(従業員51人以上)では、週20時間以上で、これまで賃金要件で未加入だった職員を洗い出します。企業規模の要件は2027年10月から段階的に縮小されるため、50人以下の事業所も今のうちに対象者の見込みを把握しておくと慌てずに済みます。

誰が・いつから・いくらで加入の対象になるかは、無料の パートの社会保険 加入判定ツール で確認できます。シフト制の週の平均時間、会社の規模ごとの対象時期、本人と会社の保険料、保険料調整制度の軽減額まで試算できます。

3. カスタマーハラスメント対策が事業主の義務に

改正労働施策総合推進法(令和7年法律第63号)により、顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)から職員を守るための雇用管理上の措置が、10月1日から事業主の義務になります。具体的な内容は指針(令和8年厚生労働省告示第51号)に示されています。

現場で確認すること:方針の明確化と周知、相談窓口、起きたときの対応手順を整えます。医療・福祉の現場では、患者・利用者・家族からの暴言などが想定されます。一方で、症状や障害特性による言動と、カスタマーハラスメントとの線引きが難しい場面もあります。指針に照らして、自施設の方針に「どう判断し、誰が対応するか」まで書いておくことをおすすめします。

4. 求職者・実習生へのセクハラ防止措置が義務に

同じ改正で、男女雇用機会均等法にもとづき、就職活動中の求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止措置が10月1日から義務になります(指針:令和8年厚生労働省告示第52号)。

現場で確認すること:面接・施設見学・実習の場での対応ルールを決め、面接や実習指導に当たる職員に周知し、相談窓口を用意します。看護・介護の実習生や、就職前の体験利用を受け入れている事業所は特に確認が必要です。

5. パート・有期職員の労働条件通知書に1項目追加

パートタイム・有期雇用労働法の施行規則が改正され、10月1日から、労働条件の明示事項に「正社員との待遇の違いについて、その内容や理由の説明を求めることができる」旨が加わります。厚生労働省の解説では、明示のタイミングは雇い入れ時と、有期労働契約の更新時とされています。同じ日に、同一労働同一賃金ガイドラインも改正され、家族手当・住宅手当・夏季冬季休暇などの扱いが具体的になりました。

現場で確認すること:非常勤の看護師・介護職・支援員などの労働条件通知書のひな形に、説明を求められる旨と窓口を追記します。就労継続支援A型の利用者の雇用契約も、有期で更新する運用であれば対象です。あわせて、正職員にだけ支給している手当・休暇について、差を設けている理由を説明できるか点検します。

今週のチェックリスト

  • 月給制の職員を含め、全員の時給換算が新しい最低賃金以上か
  • 週20時間以上で社会保険に未加入の職員がいないか(特定適用事業所)
  • 任意特定適用の申出を予定している場合、申出日が10月1日以降か
  • カスハラの方針・相談窓口・対応手順があるか
  • 面接・見学・実習でのセクハラ防止のルールと窓口があるか
  • パート・有期職員の労働条件通知書のひな形を差し替えたか(更新時も)

根拠資料

就業規則・賃金規程・労働条件通知書の見直し、社会保険の加入対象の洗い出し、ハラスメント対策の方針づくりまで、医療・介護・障害福祉の現場に合わせてお手伝いします。初回のご相談は無料です。お問い合わせはこちら。

よくあるご質問

10月1日より前に社会保険の任意特定適用を申し出るとどうなりますか?
2026年9月30日以前に任意特定適用事業所となった事業所は、保険料調整制度の対象外とされています(日本年金機構・厚生労働省のチラシ)。制度を使う場合は、10月1日以降に申し出ます。
パート・有期職員の労働条件通知書は、既存の職員の分も出し直す必要がありますか?
明示が必要なのは雇い入れ時と有期労働契約の更新時です。10月1日以降に更新を迎える有期契約の職員には、新しい明示事項を含めた書面で明示します。無期契約の既存職員への扱いは、個別にご確認ください。
患者や利用者の言動も、カスタマーハラスメントに当たりますか?
指針の定義に当たる言動であれば対象になり得ます。ただし、症状や障害特性による言動への対応は、医療・福祉の専門的な支援の範囲として整理が必要な場合があります。自施設の方針で判断基準と対応者を決めておくことをおすすめします。

このような院は、ご相談ください

  • パートさんの時給を、10月の最低賃金に合わせて見直していない
  • 週20時間以上のパートさんが社会保険に入る必要があるか、確かめていない
  • カスタマーハラスメントの対策や相談窓口を、まだ決めていない

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案への適用を保証するものではありません。制度の内容は2026年9月28日時点の公表資料に基づきます。許可・届出・助成金等には行政機関の審査があり、結果を保証するものではありません。
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