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医療2026.09.28執筆:社会保険労務士 岩田裕生読了 約6分

適時調査への備え——近畿厚生局の流れ、指摘されやすい点、診療所が毎年やっておくこと

この記事の要点
・適時調査は、届け出た施設基準を実際に満たしているかを地方厚生局が確認する調査。指導・監査とは目的が違う
・訪問による調査は当分の間、原則として病院が対象。約1か月前に通知、事前書類は10日前までにメールで提出
・指摘の多くは変更届の遅れ、掲示の不備、様式9の計算誤り、委員会の不備など。返還は前回の適時調査以降が対象
・診療所は、8月1日現在の状況を8月31日までに報告する定例報告と、要件の維持の確認を毎年行う
社会保険労務士 岩田裕生
社会保険労務士 岩田裕生 元・病院総務課長、現役の就労継続支援A型事業所管理部長。この記事のテーマは、無料相談(30分)で具体的にお話しできます。 無料相談を申し込む →

「適時調査の通知が届いた」「診療所にも来るのか」——施設基準を届け出ている医療機関からよくいただくご質問です。筆者は病院の総務課長として、施設基準の管理や近畿厚生局の個別指導への対応を担当してきました。その経験もふまえ、適時調査の仕組みと当日の流れ、指摘されやすい点、診療所が毎年やっておくべき自己点検を、厚生労働省と近畿厚生局の公表資料にもとづいて整理します。

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適時調査とは

適時調査は、保険医療機関が届け出た施設基準を、実際に満たしているかを地方厚生局が確認する調査です。根拠は施設基準の届出に関する通知(令和8年3月5日 保医発0305第7号 第3の4)で、「届出を受理した保険医療機関については、適時調査を行う(原則として年1回、受理後6か月以内を目途)」とされています。

よく混同される「指導」「監査」とは目的が違います。

  • 適時調査:届け出た施設基準を、実態どおり満たしているかを確認する
  • 指導(集団指導・個別指導など):保険診療の質の向上と適正化が目的
  • 監査:不正や著しい不当が疑われる場合に行う

ただし、適時調査の中で虚偽の届出など不正・不当が疑われた場合は、調査を中断して個別指導や監査に移ることがあると、実施要領に定められています。

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対象になる医療機関と頻度

実施要領では、厚生局が訪問して行う調査は当分の間、原則として「医科(病院)」が対象です。診療所・歯科・薬局は、毎年の自己点検と報告で確認する仕組みになっています。

病院は原則年1回とされていますが、府県内の対象病院数に応じて、4年・3年・2年に1巡を目安に実施されます。新たに指定を受けた病院は、新規個別指導(指定後1年以内が目安)と原則同時に行われます。令和6年度の全国の実施件数は2,729件、適時調査による返還額は約23.0億円でした(厚生労働省公表)。

通知から当日までの流れ

  1. 実施通知:調査日の約1か月前に届きます
  2. 事前提出書類:調査日の10日前までに、近畿厚生局へメールで提出します。基本診療料・特掲診療料の届出書類、保険医療機関の現況(病床数・看護要員など)、組織図・平面図、掲示物の写しとホームページの印刷などです
  3. 当日:目的の説明 → 院内の視察 → 書類の確認と面接懇談 → 口頭での講評。届出している施設基準が24以下であれば、調査担当者3名以内・約3時間が標準とされています

様式は近畿厚生局の「適時調査に係る資料について」のページに掲載されています。

指摘されやすい点

近畿厚生局が公表している主な指摘事項(最新の公表は令和元年度分)では、次のようなものが挙がっています。時期は古いものの、内容は今も点検の出発点になります。

  • 管理者・診療時間・保険医の異動などの変更届の遅れ
  • 施設基準・保険外負担などの院内掲示の不備
  • 衛生材料代などを徴収する際の同意書の不備
  • 看護職員の勤務状況を示す様式9の計算誤り(勤務表からの転記ミス、会議・研修の時間を病棟勤務に算入している など)
  • 院内感染対策・医療安全の委員会の構成や開催の不備
  • 看護補助者の研修の未実施

筆者の経験からも、指摘の多くは「要件を知らなかった」ではなく、「人の異動や勤務の変化に、届出と記録が追いついていなかった」ことから生じます。年に一度、届出の内容と現場の実態を並べて確認する仕組みがあるかどうかで、結果が大きく変わります。

指摘を受けた後

指摘は「改善事項」と「返還事項」に分かれます。結果の通知は講評からおおむね1か月以内に届き、改善報告書は通知から1か月以内に提出します。施設基準を満たしていなかった場合は、変更届または辞退届の提出を求められます。

返還の対象は、前回の適時調査以降で、施設基準を満たさなくなった日の属する月の翌月から現時点までです。返還金の関係書類の提出期限は、診療所1か月・病院2か月とされています。患者の一部負担金に過払いがあれば、患者への返還も必要です。

診療所が毎年やっておくこと

訪問による適時調査の対象は原則として病院ですが、診療所にも毎年の確認の機会があります。

  • 定例報告:8月1日現在の状況を、8月31日までに報告します(令和8年度の兵庫県の提出先は近畿厚生局兵庫事務所)。無床診療所は、要件を満たさない施設基準がある場合に限り、報告様式・自己点検チェックリスト・辞退届を提出します
  • 要件の「維持」の確認:届出時に満たしていても、その後の研修・会議・訓練の実施が求められる加算があります。たとえば外来感染対策向上加算は、院内研修(年2回程度)やカンファレンスへの参加などを続ける必要があります
  • 名称・要件の変更への対応:令和8年度改定で、時間外対応加算は「時間外対応体制加算」に、医療DX推進体制整備加算は「電子的診療情報連携体制整備加算」に変わりました。院内掲示やホームページの記載も、新しい名称と要件に合わせます
  • 変更届:管理者・診療時間・保険医の異動があったときは、遅滞なく届け出ます

届出不要とされている施設基準(たとえば明細書発行体制等加算)も、要件を満たしていなければ算定できない点は同じです。

根拠資料

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よくあるご質問

診療所(クリニック)にも適時調査は来ますか?
適時調査実施要領では、厚生局が訪問して行う調査は当分の間、原則として病院が対象とされています。診療所は、毎年の定例報告(自己点検と報告)で施設基準の状況を確認する仕組みです。
通知が来てから調査日まで、どのくらいありますか?
実施要領では、調査日のおおむね1か月前に通知され、事前提出書類は調査日の10日前までに提出することとされています。
施設基準を満たしていないことが分かったらどうなりますか?
変更届または辞退届の提出を求められ、要件を満たさなくなった月の翌月以降に算定した分は返還の対象になります。返還の対象期間は、前回の適時調査以降が基準です。
定例報告はいつまでに出しますか?
8月1日現在の状況を8月31日までに報告します。無床診療所は、要件を満たさない施設基準がある場合に限り、報告様式などを提出します(近畿厚生局の令和8年度の案内による)。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案への適用を保証するものではありません。制度の内容は2026年9月28日時点の公表資料に基づきます。許可・届出・助成金等には行政機関の審査があり、結果を保証するものではありません。
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